現在、墨汁を使う方が多くなりました。
書道で書く以上、お点前としての墨磨りは大変重要な事と思います
固形墨をするという一連の運動は、筆運びにも繋がります。
現代生活においては、パソコンやスマホなどでの筆記が中心で、肘・肩を動かすことが少なくなって来ています。
墨をする腕の動きを思い出してみてください。肘や方が動きませんか?
墨をするということは、書くことのウォーミングアップになるのです。
書道の基本運筆の中で「筆を立てる」という大事なことがあるのですが、初心者では運筆の間に筆が倒れてしまうことが多くみられます。
鉛筆やボールペンは角度が付いても書けますが、筆の場合は筆が寝てしまうとハネ・ハライが出にくくなります。
これを解決する方法としても、墨をすることは大変です。
墨を硯に対して垂直に立てて、墨をする。こうすることで筆に持ち替えた時にも筆を立てる習慣がつきます。
固型の墨はすり具合で濃度の違いが出るので、筆が素直に書けるかと思います。
墨汁は成分の関係で濃度が高く、筆の戻りが悪いので、硬い筆の希望が多いように見受けられます。
筆の寿命の点でも固型墨の良さ(墨で書くことで筆の腰が強くなる)が出てきます。
墨汁を用いていると、墨汁の中の酸化防止剤や防腐剤の影響で毛が痛みやすくなり、筆の寿命を縮めたり、筆先が割れる原因にもなります。
3年ほど前から、墨用のニカワの生産が国内では無くなりました。
新しい時代ですが、日本の文化を残して行きたいものです。